『摩訶不思議☆日本人①』 根強い「金額=効果」主義
今回から不定期連載としまして「摩訶不思議☆日本人」というコラムを書いていこうと思いました。
我々日本人というのは非常に不思議な人種でありまして、他国の方とは少々異なる価値観や生活習慣を持つ民族であると私は思っています。
我が国で健康志向が叫ばれて久しいですが、私から見た日本人と健康の観点から見えてくる様々な試みや矛盾点などを(私なりに)鋭い目線で描いて行きたいと思います。
さて、それでは記念すべき第一回の始まり始まり。
つい先日のことですが、来局した少々ご年配のお客様とお話していたところ、そのお客様がサプリメントに月数万円をかけておられるというお話を聞きました。その金額の多さに驚きまして、一体どんなものを飲んでおられるのかとお聞きしたところ、まあ次から次へと出るわ出るわ健康食品のフルコース。
驚くべきことに一日10種類以上のサプリメントを服用されておられるとのこと。
正直申しましてドギモを抜かれました。(もちろんコラムを書くことには許可をいただいております)
しかし実はこれ、現代の日本人には決して珍しくないようです。
ちょっと話を変えますが最近ではタバコの喫煙にはうるさく規制がかかり、喫煙者の方は不自由な思いをされているというお話を聞きますが、私のように生まれてこの方タバコの一本も吸ったことのない人間からすれば喫煙すればいいのではと安易に思ってしまいます。しかしそこは喫煙者の方からすれば「やめられない」というお話になります。いわゆる「ニコチン中毒」というように呼称されますがタバコには依存性があるのは周知の事実。
私はこれに似た症状がサプリメントにもあると思います。
個人的にこれを「サプリ依存症」や「健康食品中毒」と呼んでいます。
そもそもサプリメントや健康食品というのは医薬品と違い、効能効果をうたうことができないものです。例えば健康食品のパンフレットに「ガンに効く!」や「糖尿病が治った!」などという表記があったとすればそれは薬事法違反であり、その信憑性には疑問符が付きます。サプリメントはお薬ではないのです。
当店でもサプリメントの取り扱いはありますが、効能効果をうたえない以上サプリメントというものはあくまで医薬品の補助として使うべきものであると考えています。サプリメントだけを飲んで血圧が大幅に下がったとかガンがすっかり消えた、という内容に関しては全ての可能性は否定しませんが残念ながらその大半が眉唾であると言わざるを得ません。
しかし「サプリ依存症」の方はサプリメントに過度の信頼をお持ちになり、また一つ、また一つとその服用数を増やしていかれます。しかもその金額が高ければ高いほどその効果に向ける期待も膨らみ、第三者から見れば法外とも見える金額を支払われている方が少なくありません。
よく「漢方薬は高い」というお話をよく伺いますが、漢方薬は医薬品ですし数千年という長い歴史の中でその効果を立証されてきた確かなものです。(それでも当店で扱う漢方薬は何万もうするものはほとんどありませんが・・)
もちろん健康食品と言われるものの中にも医薬品と同等、それ以上の効果があるものもあるのかもしれませんし、その高額な値段が持っている効果と釣り合うものも存在している可能性はあります。
しかし誇大な広告を鵜呑みにし、法外な値段で効果のないサプリメントを購入し続ける一方で間違った使い方を続けて「漢方は効かない」と騒ぎ立てる方も多いのもまた事実であり、漢方を扱うものとしてはこの現状を非常に残念に思います。
かつてバブルの絶頂期には「拝金主義」や「成金主義」と言われ世界中から非難の目で見られたこともある日本人。バブル崩壊後にはそうした光景は次第になりを潜めたように思えますが、日本人の心のどこかにはやはりまだ確かに「高いものほどいい」という概念が残っているように思えます。
しかし少なくとも私は美味しいもの、美しいもの、楽しいものを手に入れるにはお金をかけなくてはいけないとは思いませんしそう考えてしまう風潮が蔓延しているのであれば私個人としては非常に寂しく思います。
昨日は代々木公園で満開の桜を見てきました。
近くの農家から分けていただいた健康な鶏のタマゴや野菜を美味しくいただきました。
夜は仲間と集まって食卓を囲んでわいわい騒ぎました。
私個人のとてもささやかな幸せでしかありませんし、お薬の値段とはちょっと話がずれてしまいますが、お金をかけることだけが価値のあるものを得る手段では無いと思うのです。
健康に気をつけることは素敵なことですしそこにお金をかけることも健康がお金以上の価値があると考えていることでもあり、とても意味のあることだと思います。
ただしそこに高いお金をかけておられる方はそれが本当に意義のあるものかどうか、一度見直してみてください。新しい物にも素晴らしいものはたくさんありますが、新しいものばかりに目を奪われることはまた危険でもあります。古人が残した素晴らしい知恵にも目を向けてみてください。
本当に良いものを見極めるのは他ならぬあなた自身です。
そのためのお手伝いを私はさせていただきたいと思っています。
満開の桜を見ておにぎりをほおばりながらそんなことを思いました。


